PBP三日目

ルディアックに着く頃は夜が開けていました。


ドロップバックで電池交換、補給食はほとんど手つかずだったので補充なし、
片足走行なのでエネルギーも半分でいいのかな、


この時点で16錠あった鎮痛剤も後4錠、
今は2時間と効いてくれません。


ダンシングができず、座りっぱなしのお尻も限界に来ています、
すごく痛くってクリームを塗りますが焼け石に水
どこまで我慢出来るのだろう…


仮眠から目覚めたKさんに聞くと
鎮痛剤を少し分かてくれるとのこと、
また少し生き延びました。


日が昇ってくると、また熱くなります、
新聞紙だけでなく、アームウォーマー、レッグウォーマーを取って走ります、
完全に片足走行、平地でも右足をペダルから外しておきます、
実は少し休めておくと100回転ぐらいは少し力を入れることができることに気づいたので
小さな上りの前は必ず外して走ります。


800kmを超えたタンテニアックのPC、
ここから先のPCでは必ずメディカルサービスによって
歯が痛いと言って鎮痛剤を処方してもらいました。


900km超のフィジェールのPCでは再びKさんと合流、
もう一度鎮痛剤をいただきました。


ビラインアジェルに向かう途中、街に上がる小さな上りに差し掛かり、
いつものようにインナーローにシフトダウンするとたくさんの参加者が抜いていきます、
しかし、やたらギヤ鳴りさせて抜いていかない参加者がいました。
次の上りでも沢山の参加者が前に消えていくのに後ろでガチャガチャ…
その次の上りでもガチャガチャ…、
いいかげんに抜いてくれと後ろを振り返ると、
誰もいない…
ギア鳴りの主はすぐにわかりました、
とともに大粒の涙が、今までどんなに辛くっても涙なんて出なかったのに、
Yさん、いつもありがとう、
タイムアウトするまで、あなたの分も走らせてもらいますよ。


そんな感傷に浸っていると、突然後ろからジャージをつかまれた、
「ぐっど、じゃーじ!!!いっつ まいん!!!」
何か陽気なフランス人がきた、
やたら話しかけてくるが、こっちは苦痛で意識もうろうなんだよ、
「まい らいと にー はぶ ぶろうくんあうと、 あい きゃのっと らん ふぁーすと」
なんていうと、ペース落として一緒に走ってくれる、
お前なにものなの?
まさか…
ビラインアジェルまで20kmあまり、
ずっと話しかけてくれて、ペースも私ののろのろ上りにあわせて笑ってくれて、
変だろ、やっぱり…
PCに到着すると彼の周りは人だかり、みんながこぞって話しかけている、
ひょっとして凄い有名人なのか? Yさん…


このPCでトイレを使用しようと思ったのですが
ここのずらっと並んでいる簡易トイレ、
とっても不思議なトイレで
ちょうど和式のトイレの形なのだけれど
変な位置に直径15cmぐらいの穴があって
どう考えても大は命中しそうにない感じ、
水洗用のポンプを踏むと床じゅうが水没し始めた、
訳が分からず使用断念、次のPCまで我慢することにしました。


ここから次のPCまでは、ひたすら真っ暗な道と
遠くの地平線がが赤く染まっていることしか覚えていません、


1090km地点モンターニュ、
ここのトイレは便座付きでとっても豪華、
ゆっくりようを足しましょうと腰掛けますが
出ない…
明らかに出口より中身が三倍ぐらいに広がっちゃって固くなってしまっている感じ、
いくら踏ん張ってもでないでしょう、
おもむろに自転車に戻ってゴム手袋とアーレンキを二本持って再度トイレへ、
さあ、オペの開始です。
まずはアーレンキで四等分、しかしそれでは出ません、
次に真ん中を丸く出てくる大きさにカット、
これが大成功で真ん中が落下した後は次々落下、
無事にようがたせました、所要時間1時間弱。


トイレに入っているうちに日付は変わっていたみたいです。