PBPツアー5日目

team10802007-08-21

走り出すと前後に誰もいない状態で真っ暗、
さらに雨が激しく落ちてきました。
バックから雨具を出して上だけ着ることにしました。
手袋も指つきにしました。
さらにお腹には新聞紙、汗と雨を吸い取ってもらう予定です。
しばらくすると前方にランタンルージュが左右にゆれています、
相変わらず皆さん上りに入るとシフトアップしてゆっくりダンシングをしているもよう、
上りではかなりの速度差で追い抜けますが、
下りになると、眼鏡に水滴が付いてよく見えないため加速できません。
しかし路面状況はそれほど悪くなく快適に進む感じです。
途中ルマンへの標識に感激したりしましたが、
かなりの間町の中を走っていない感じで、ここは森の中なのか、畑の中なのか全く分りません。
だだひたすら緩い小さなアップダウンを繰り返します。
この区間は人と全く交わることなく、いくつかの集団を坦々と追い越して、
久しぶりに大きな町に入って石畳の道を下っていくとたくさんの照明とバルーンアーチが出迎えてくれました。
PC1、ビレイン・ラ・ジェル(222.0km)到着です。時刻は3時45分ごろ


初めてカードを通してもらって、ブルベカードにスタンプをもらいます。
食堂に行って、パンオショコラとパンオレザンとコカコーラをいただきました。
でもここの会計はフランス語オンリー、分らないのでお財布からとっていただきました。
正直、ものすごく消耗しています。
けれど内臓はすこぶる快調、食欲も十分です。
20分ほど休んだ後にトイレに行って、再スタートです。
深夜にもかかわらずたくさんの声援に送られて再び走り始めました。


雨は相変わらずですが、道の感じは森から畑に変わった感じがします。
ひたすら真直ぐな緩いアップダウンを繰り返し、
建物が見えると道は石畳に変わり、やや急な上り坂になり、
その上り坂のピークにはものすごく立派なガイドブックに出てきそうな教会が建っています。
教会を中心に村ができている感じがしました。


時計が6時近くなるとまた強烈な眠気が襲ってきました。
こいつが来るとスピードが10km/h台に落ちてしまいます。
早く夜が明けてくれ!祈るような気持ちでした。
そんな状態でふらふら走っていると後方から普通と違う音がしてきました。
振り返るとカウル付のホリゾンタルが二台併走していました。
『かっこいい!』まじにそう思いました。
そして追い抜かれる瞬間『4年後はこいつしかない』そう思いました。
しかし次の上り坂でじたばたしているのを見て、
『立ちこぎ出来ない乗り物は却下』ということになりました。
こいつのおかげでしばらくは目が覚めていましたが、絡みがなくなると再びうとうと…
まわりも明るくなっているのに…
と、突然6人ほどの集団から『Uさん』って声がかかりました。
あわてた私は草むらに脱輪!、しっかり見られてしまいました。
スーパークライマーのこーたろーさん、
いつもの低く前に長いポジションは全く日本人には見えません。
完全に集団に同化していました。
どんどん小さくなって行くこーたろーさんの集団を見送りながら、
延々続く真直ぐな畑の中の一本道を20km/h弱でとろとろ走ります。
次のコントロールまで後10kmを切ったところから、眠気覚ましに200mおきにカウントダウン、
やっとのことPC2のフジュール(310.0km)についたのは8時少し前でした。


コントロールで磁気カードを通してブルベカードにスタンプを押していただいて外に出ると、
こーたろーさんがいらっしゃいました。
でもこの方フランス人とほんと同化していて声をかけられなければ分りませんでした。
これから食事ということでご一緒することに(ひょっとして待っていてくれたのかも)
PBPで始めてのちゃんとした食事ということで、こーたろーさんの取るものをそのままコピー、
メニューはポタージュ、フルーツカクテル、アップルパイ(今日も出ました)、リゾット?、バケット2切、バナナ
改めて書くと結構食べましたね〜
こーたろーさんも眠くて仕方ないとのこと、
一緒に行こうと誘っていただきましたが、
トイレにしゃがみたかったのと、あまりに走力が違うので遠慮してしまいました。
せっかくのお誘いすみません、もっと鍛えて胸を借りたいと思います。
およそ30分ほど休憩してまた単独で走り始めました。


コントロールを出ると畑の中の一本道、舗装は水はけ優先?の荒め物ですがそれほどいやな感じはありません。
常に緩い上りと下りを繰り返していて、遠くの小高い丘に教会の塔が見えてくると村へと続く石畳が始まります。
教会への上りはシフトアップしてのダンシング、この走りも慣れてきました。
立派な教会を越えると下りとなりますが石畳の為シフトダウン!ゆっくりと下ります。
また結構街中のロータリーで走っていく方向が変わることが多く注意が必要です。
村の中では見物の人がそこそこいて(みんな結構厚着、冬物みたい)声をかけたり、手を上げて迎えてくれます。
私もフランス流の手の上げ方?を試したり、皇室風のお手振りを真似してみたり、
『ぼんじゅ〜る』以外の気の利いた台詞を仕入れておくべきだったなと後悔もちょっぴりです。
村の中には商店らしいものはほとんどなくて、あってもパン屋さんぐらいかな、
でも、そのパン屋さんから漂う香りのすばらしいこと、思わずブレーキレバーに手がかかります。
雨は降ったりやんだりで、気温も高くなってきたようなので雨具を脱ぐと、またざーざーぶりというパターン、
2〜3回そんなことを繰り返して距離を稼ぎます。
この区間は全く誰とも絡むことなく坦々と走って(眠気もなし)、
最後に長めに上って、PC3のタンテニアック(364.5km)に午前10時30分ごろ到着しました。
ところがここのPC、コントロールがどこにあるのか分りません。
あちこちうろうろしていると、後続が自転車に乗ったまま別の建物に向かって行きます。
かなり歩いた別棟にコントロールがあり、10分ぐらい迷子になっていました。
チェックを終えて食堂へ向かうのもまた結構歩きました。
それほどお腹は空いていませんでしたが、
次のPCまで結構距離がありますからとりあえず何かお腹に入れておこうということで、
タルトタタン(またまた出た〜)と超小型マカロニ状のパスタのわけの分らないソースかけ、コーラをいただきました。
ほんとフランスのりんごの焼き菓子は美味いです。
分けの分らないパスタはかまずに飲み込めます。
コーラは世界共通?です。


30分ほどで再び走り始めます。
濡れた体は休憩中に冷え切ってしまい、走りはじめの30分はハンドルが振動するほど震えて寒いです。
雨は益々強くなってきます。けれど眠気はなし、25〜30km/hで走れています。
道は相変わらず村に向かって上り村を過ぎて下るパターンの連続です。
弁当ボックスに入れたパワーバーはコチコチになっている位の気温、おそらく15℃前後でしょうか。
道端に村の名前を示す看板が立っているとすぐに民家が現れます。
だけれどこの村はおそらくこの一軒だけの村みたいで、ほかに家屋が見当たりません。
それまで教会のある村ばかり目に付いていたのでちょっと新鮮な感じ、
この街道はそんな一軒屋が目に付きます。
また、小さな川を橋で渡るところも多く、
そこにはちゃんと橋や川の名前を示すたて看板が『La〜』とか『Pont〜』とか立っています。
ただ、川といってもしっかりした流れがある感じではなくて、どんよりよどんでいて、
ゴルフ場のウォーターハザードみたいな小川で、橋も用水路にかかる橋みたいに簡素なもの、
日本だったら名前をつけるほどでもないかなという感じです。
徐々に畑から森の中を走る割合が多くなって、荒れた路面の長い下りを下って行くと
目の前に大きな町が広がります。
PC4、ルディアック(449.5km)到着です、時刻は午後2時30分をまわったころでした。
コントロールで磁気カードを通していただき、スタンプをもらって、トイレに直行、
もう一度コントロールに戻ってAJのサポートバスの位置を確認するため掲示板に行くと、
ありました!ありましたけれど分らない…
地図なのですが、コントロールとバスの止まっている場所の位置関係が今ひとつ分らない、
できれば地図上に本コースを引いていただければわかりやすかったのですが…
結構迷って、人に聞きまくって何とかバスに到着しました。
バスに着くと応援団の方々と日本語が話せて一安心、
けれど要領がが悪くって作業がはかどりません。
心の中にもうおしまいにしてもいいかも、なんていう気持ちがいたためかも知れません。
やったことといえばライトとGPSの電池交換、チェーンのオイル差し、リアタイアのガラス片除去、チューブ交換、
ライトブラケットの増し締め、補給食の追加(パワーバー4個、一口羊羹3個、卵饅頭3個、アミノバイタル4袋)
ボトル(水1L、コーラ0.5L)
全てのウエアー交換(長袖の上に半袖の重ね着、つりのないパンツ、レッグウォーマー、靴下、モンベルの極薄雨具、シューズカバー、長指手袋)、
これだけのことに一時間以上かかってしまいました。
座席に座って目を閉じると、即撃沈してしまったようで、
目が開いた時には午後4時45分、外はざーざーぶり、
椅子から起き上がりますが気持ちが走る方に向かいません。
グズグズしていると、応援隊のIちゃんが『なにか食べてから行きませんか』と声をかけてくださいました。
手渡されたトマト、一口かじると腐っていた気持ちが一気に晴れ渡り走りたいという意欲がわいてきました。
ありがとう!ご馳走様!すごい力になりました。(元気が湧くのって何がきっかけになるか分らないものです)


結構元気に出発したものの、街中をだらだら登っていくためペースが上がりません。
街を出ると森の中を走る林道風、勾配も日本的なものになってきました。
結構楽しくアップダウンをこなしていると後から大きなトラックが近づいてきます。
けれど道幅が狭いためか何時までたっても追い越す様子がありません。
振り返ると、私の後ろをしっかりと車間を取って全く追い越す気がないようです。
結局大きな通りに出るまでの2kmのろのろ運転に付き合ってくれました。
日本じゃ絶対考えられない出来事でした。
しばらく大きな道を走りましたが、また林道風の道に入ります。
雨もかなり小降りになってきて、眼鏡に付く水滴も少なくなってきました。
ただ残念なことに舗装が酷く悪く、ついにお尻の一部が切れたみたいで痛むようになってきました。
こうなるといつものお尻を保護する走りにチェンジとなります。
基本的にはダンシングの多様、80回転シッティングでこいだら20回転ダンシングするパターンを繰り返します。
この作戦、お尻には優しいのですが単調なリズムが生まれてしまうため、眠くなってしまうのが玉に瑕、
眠さが出てくる日暮れまで行うことにしました。
ちょっと大きな町の石畳を下っていると突然のシークレットポイント登場、
結構雰囲気のいい町並みで、ゆっくりとしていたい気分です。
そんな気分も振り切って、舗装の悪い長い下りを腰を浮かして下っているとかなり強烈な便意がもようして着ました。
次のコントロールまで8kmほどでしたので、我慢してコントロールに向かいます。
すると対向をすごい勢いで走ってゆく大集団(50人くらい?)が通過、先頭です!!!
もう200kmもの差がついているんだ〜、ちょっとショック…
最後に上りがあってトイレを我慢したことを少し後悔しましたが、何とかPC到着、


PC5、カレ ブルーゲ(525.5km)まだ明るい午後8時40分の到着でした。
コントロールでスタンプをいただいて即トイレへ、
しかし、このコントロールには男の大が一つしかありませんでした…
当然トイレを待つ列は限りなく長くって、用を済ませ終えるまでの30分はこのブルベでかなり強度の高い地獄でした。
個人的には外でやっても平気なタイプなんですが、さすがアウェーの地ではおとなしくしなければと、頑張りました。
へとへとになって食堂へ、ここにもアップルパイありました。メインは魚を白ワインで煮たものとライス大盛り、それにコーラ、
食堂にはレスキューシートで横になっている人もちらほら、
私はルディアックで寝たからいいもんね〜
出すものを出したからお腹に入る入る、完食したらやばい、眠くなってきた。


トイレのこともあって、一時間ほど休んでしまいました。
ほぼ日も落ちた街中に飛び出して行きます。
始めはかなりの下り基調、石畳が混じっていてはっとすることもありました。
大きな道を右折して森の中に入って行きます。
間違っていないか止まってGPSで確認していると、
車が止まってくれて、「My I help you?」
コース上にいることだけ確認させていただいて、どうもありがとう。
でも、英語もほとんど話せない私ですが、この地で英語を聞いてとってもほっとしている自分がおかしかったです。
真っ暗な林道風(センターラインあり、民家全くなし)の道、
このころになると道が上っているのか下っているのか視覚的には全く分らなくなっていました。
前方にはポツリポツリとテールランプが揺れています。
このあたりになってくると大きな集団は全くみられなくなり、
ペアで走っている人たちが目立つようになってきます。
かなり広い道に出て、右折して下り始めるとこのままブレストにとどいてしまいそう。
でもまだブレストまで50km以上あるんですよね。
このころからたくさんの対向とすれ違うようになりました。
ライトの明かりしか見えないので分らないけれど、
カリスマIIのお二人やK藤さん、寝ていなければこーたろーさんもいるのだろうな〜
顔をみたいな〜なんて人恋しくなったりしてみたり、
真っ暗な道ではいろいろなことを思うものです。


しかし、ま〜本当に変化の乏しい道で、街中を走ることも全くなし、つまらね〜
風は向かい風なのにそこそこスピードは出ているので下りなのかな?
ま、前に進めばどうでもいいか〜
みたいな、結構この時点ではハイになっていたみたいです。
延々走って左折して街中に入って行きます。当然道は石畳、おけつに優しくないです。
街の中心では大きなテントを張って、宴会場ができています。
我々が通過すると歓声が上がります。
くそ〜酒飲みて〜!


かなり下りました。大きなロータリーに出ると、何か潮の予感が…
絶対海は近いと思ったのですが、大はずれ、PCまで20km近くあるし、しばらく走ると両脇は森になりました。
結局再び内陸を走っているような道に逆戻り、緩い上りになってしまいました。
峠風の頂上を越えると前方に街灯の列が見えます。
高速道路?大きな橋?その答えは下りきった先のT字路を左折すると分りました。
どっちも正解!ブレストに向かう高速道路の橋の街灯です、その橋が架かっているのは海に面した河口で、
左側には海が開けていました。
やたらと広い橋の歩道部分を走って対岸に渡り、いよいよブレスとです。
毎回そうなんですが、街中に入るといやらしくぐるぐる回されて、
PCに着く頃には喜び半減、もっと素直にPCに到着させてください!
てなことで、PC6中間地点のブレスト(614.5km)到着は午前1時50分、ぎりぎり30時間切りでした。