600km二日目

後10km、
峠族の走る道をひたすら逃げるように下って平地に入り、後50mほどにせまったQシートの指示を確認するために視線を路面から離した瞬間でした。
右半身に激しい衝撃、そしておかちゃんの悲鳴が聞こえます。
転倒した…
急いでおかちゃんの声の方に行くと
怪我をさせてしまった。


幸い自転車は動くようなのでホテルに向かいそこから救急車を呼んでもらうことに。
気丈に一人病院に向かうおかちゃんにかける言葉がありませんでした。


3時少し前に病院から帰ってきたおかちゃんは外傷だけとのこと、とりあえず休んでもらって今後どうするかを考えていました。
とても悩んだ末、走れるのであればタイムアウトになるまで走ることを勧めよう、という結論に達しました。多分誰が考えてもこの状態はリタイアでしょう。でも私は私がブルベで教えられた全てをおかちゃんにそのまま伝えようと思いました。『走り続ける勇気』、昨年の静岡600kmでSTIが壊れて変速できないまま走り続けたIさま、そして彼をサポートし続けたIさま、彼等を見て自分が感じたことをそのまま伝えようと思いました。


午前6時半にホテルを出て、おかちゃんは再度病院に、私は長岡駅前で自転車のチェックをしていました。8時少し前に帰ってきたおかちゃんにかけたい言葉は沢山ありましたが、私の口から出た言葉は「タイムアウトまで走ってみないか」でした。
そしておかちゃんの応えは「タイムアウトはしません!」
負けたと思いました。
後は70km先のPC4に向かうだけ、リミットまで後3時間と少しです。


21時19分、時間にして38時間19分、二日にわたる長い旅が終わりました。
あの時の判断が良かったかどうか
自分にはまだ自身がありませんが
ただいえることは
今回も『走り続ける勇気』が目の前で輝いていました。