BRM421埼玉600kmは…その2

日が変わる前に半分はクリアー出来ました。
走り始めると、かなり寒気が強くて、ハンドルがプルプル振動しています。
体調による悪寒のためか、気温が低いためか、ウェアーが汗で湿っているためなのか…


今まで下に落としていた視線を上げると、視界の隅に白い影が通り過ぎて行きます。
最初は眼鏡の曇りか、息が白いのかと思っていましたら、
なんと桜がきれいに咲いていました。
八重桜なのでしょうか、それとも今が満開なのか、とってもきれいです。
ほんといい道だな〜って、具合は変わらないのにちょっと気持ちに余裕が出てきましたか、
痛みになれてきて、本来の自転車に乗る楽しみが少しづつ戻り始めていました。


途中、数台の対向車と対向、ベルでご挨拶です。
彼らに追い抜かれたら最後尾だな、
なんて思いながら相変わらず痙攣で道端に停車を繰り返します。
平地は相変わらず20km/h、上りだすとすかさず34×25に落として7km/hあたり、
シフトは右足が下がる時にすると膝が痛むので、左足が踏み込む時におこない、
フロントは下り以外はインナーに入れっぱなしです。
心拍は、痙攣なしのときは80拍あたり、痛い時は150拍ぐらい
何かめちゃくちゃです。


PC4のいわき市に戻ってきたのは午前1時30分ごろ、
コンビニには誰もいません。
クリートをはずして足を地面に着いた瞬間、またしても痙攣、しばらくそのまま動けませんでした。
食欲は相変わらずないのですが、
あまいものは飽きたので、とんこつラーメンと残ったスープでおにぎり雑炊を完食、
久しぶりの固形物に胃がびっくりして気持ち悪くなってきました…
でもやっぱり食い物はちゃんと食べなきゃということで、
補給食はカロリーメイトのベジタブル味と醤油せんべいに決定!
ボトルは麦茶とコーラにしました。
そろそろ出発しようかというところでO川さんが到着、
途中で仮眠を取っていたそうです。でもとっても元気そう。


ここからはしばらく海岸線を走ります。
気温もぐっと上がった感じで、寒気はなくなりました。
(食べ物のおかげかも)
PCからすぐのところに健康ランドがありますが、
正直、靴を脱ぐのも困難な状態です。
寒くもないので先に進むことにしました。
ところが、暖かい南風を受けるととたんに眠気が襲ってきました。
でも、うとうとすると右膝に力が入ってしまうようで、痛みで目が覚めます。
足が攣るのはじわじわくるので眠気覚ましにはなりません。
逆に急に足が止まるのでバランスを崩しそうになって
ヒヤッとして目を覚まします。
そろそろ危なそうなのでバス停で寝ちゃいましょうかと思いましたが、
この辺のバス停はベンチはあるのですが屋根がありません!
なんかないかな〜ときょろきょろしながら走っていると、
前方にお一人様で満員の小さな明かりが目に入りました。
田舎によくあるお米のコイン自動精米所です。
中は一人で満員、午前2時30分入室、
かえるの鳴き声を子守唄に即ダウンしたみたいです。
目が覚めると午前3時30分、丸々一時間眠れました。
でも、起き上がろうにも足が固まってしまっていて起きれません。
腕の力で起き上がろうとすると今度は腕が攣ってしまいました。
腹筋に力を込めると、腹筋が、深呼吸をしようとすると肋間筋が攣ります。
ほんと、もう笑うしかありません。
でも、ここで嬉しい出来事?が、
このブルベで20時間ぶりにトイレに行きました。
もう「毒素どんどん出て行け〜」って感じです。


道路標識の進む方角が[小名浜]から[日立]に変わるころ、闇が白み始めました。
明るくなってくるにしたがって、コースも内陸に入り始め、
またしても小さなアップダウンが始まります。
でも、復路は風景を眺める余裕が出てきました。
やはり桜がきれいです。
ところどころにお地蔵さんや苔むした道標があったり、
道自体は新しい感じなのにいい雰囲気の道です。
走っているスピードが遅いのでそんな雰囲気も感じることが出来るのでしょうが、
すごく気持ちがリラックスして行くのが感じられます。
おせんべやカロリーメイトを口にすると、
唾液がほとんど出ないものだから、パフパフしちゃってそれもまた楽しい。
誰にも遭うことなく424km地点、高萩のPC5に着いたのは午前6時過ぎでした。


PCではまずトイレに駆け込んで、食事はおにぎりと小ナポリタン、
あとりんごジュースをがぶ飲みしたら、とたんに寒くなりました。
自転車を見るとなんとサドルの取り付けボルトが緩んでいました。
そんなことお構えなしで走っていたのか、サドルはかなり下を向いている状態、
あわたて直していると、次々と参加者が到着、ちょっと恥ずかしかったです。
さらにリアホイールから何かするような音がします。
どうもナイロンの細い紐をフリーとハブの間に挟んでしまったようです。
これはどうしようもないので放置することとしました。


PCを出発してすぐの右折を直進してしまいましたが、
後から参加者に声をかけていただきすぐにコース復帰、
ゆっくり走っているからミスしても傷口が小さくてすみます。
走り出してすぐに熱くなってきましたので、
ウィンドブレーカーとシューズカバーと指付きグローブを脱ぎます。
ここから75kmはアップダウンの連続です。
上りは34×25しか使わないし、下りは足を止めちゃうので
コースの難易度が感じられません。
ただ時間が過ぎ、残りの距離が少しづつ減っていく、ただ消化しているだけの走りになってきました。
これって私にとってかなりまずい状態で、気持ちが切れ掛かっている証拠です。
これに対して気持ちを復活させるために取った作戦は、
『足が攣るまで何回転できるでしょうか、ダンシング選手権!』
とにかくダンシングします。足が攣ったり、膝が耐えられなければおしまいです。
「先頭バッター???は右足の大腿四頭筋!やるのかい、さあやるのかい!お尻を上げて1,2,3,4…!」
なかやまきんにくん顔負けの前振りをしながら、がんがん上ります。
すぐに熱くなって、レッグウォーマー、アームウォーマー、を取って夏のいでたちに変身、
ビーフラインに突入しました。
でもしばらくやっていたら筋肉の名前が浮かばなくなってきて、足以外の筋肉もエントリー、
さらに足が痛くなるまでの回数も10回をきるようになったので、終了〜
ちょうどPC1で使ったコンビニに着いたので迷わず休憩することにしました。


結構気持ちはHiになっていたのか、何でも食べられそうな気がして
油ギトギトのから揚げと焼きそばに手を出してしまいました。
うォー!油がうまい!
休憩場所で参加者の一人一人の方が膝を心配してくださいます。
薬を差し出して下さる方もいらしてありがたいです。
この辺のポジションで走ることはほとんどなかったのですが、
これもまた楽しいなって、本当に思いました。


ビーフラインに戻ると、油物が効いたのかげっぷがやたらと出ます。
往路で自分が倒れたところをしっかりと確認して、戻ってきたよとご報告です。
最後の短い上りをダンシングで駆け上がって、これで上りはおしまいだい!っと思っていました。


実際、後はほとんど平らなんです。
でも、風が…
R50に出ると完全な逆風、私の足では15km/hがやっとです。
あ〜、神様、いい加減にせえよ!


最後のPCには12時30分に到着、後10km/hでも間に合います。
コンビニの店舗を出るともわっとするほど気温が上がっていましたので、
今年初の冷やし中華を完食、オレンジジュースもがぶ飲みして体中すっぱくなりました。
次々と出発する参加者を見送って、ゆっくりと走り始めます。
向かい風は相変わらず強くて、進路を南に向けるとさらに強くなってQシートが吹っ飛ぶほど、
速度は相変わらず15km/h、痙攣も1分間隔で交互に襲ってきます。
あまりに遅いので歩道を走ることもたびたび、15km/h以下にスピードが落ちるとダンシングで戻します。


県道133号線をしばらく走ると不思議な世界に入ります。
道路も細めですが、両脇に立派な門構えの平屋のお屋敷が続きます。
明治ぐらいにタイムスリップしたようで、映画に出てくる製糸工場にも見えます。
そういえば一つ東の県道も(200kmで走りました)雰囲気は似ています。
ゆっくりとした時の流れを感じることが出来る町並みのような気がします。
今度来るときはゆっくりと走ろう、そう思いました。


残り50kmになって補給食が足りないことに気がついて
コンビニでおにぎりを食べたりしてなかなか前に進みませんが、
この辺から風向きが変わった感じで、少し楽に走れるようになりました。
心配していた利根川の河川敷も横風ですみました。
野田橋を越えたところで、タイヤバーストでストップしていたT田さんと合流、
ゴールまでゆっくりと引いていただきました。
でもこうなると両足が攣っても止まれない…
あと少し、あと少しと心ははやりますが全く加速できません。
川口北高校の交差点を曲がったとたん、足が止まりました。
後1kmを5時間かけても間に合う…
そう思ったとたん、足が動かなくなりました。
でも最後の十字路を曲がってN見さんとS神さんの姿が見えたとき、また足がゆっくりと動き始めました。


34時間46分?ゴールしました。
道中ずっと心配して声をかけてくださったN見さん、ありがとうございました。
N見さんからいただいた電話番号のメモはお守りとしてずっと持っています。


ゴール後いただいたスープもおいしかったです。
いすみちゃんとも一年ぶりにお話できたし、
やっぱりゴールしなくちゃいけないな〜
でもゴールしてからだんだん足の痙攣が酷くなってきたので、
失礼して車で戻って着替え、頭なんてシャンプーして、
ちょっと運転席に座ったとたん…眠っていました。
目が覚めると時刻は午後8時30分、結構寝てしまいました。
車から降りようとしたら、体が動かないです。
しばらくじたばたしましたが、残念ながらあきらめてそのまま帰路につきました。
最後のご挨拶も出来ずすみませんでした。
こんな長い文章、誰も読まないでしょうが、
もしAJ埼玉の方のお目に触れることがございましたら、
深くお詫び申し上げたいと思います。
とっとと帰ってしまいすみませんでした。
また、今度もよろしくお願いいたします。


車が家についても、家に入るまで30分かかりました…